DC滞在中はご学友と一緒に朝食をとっていたが、SFに来てからは朝を軽くすますことにする。買い置きのビスケット数枚と水。やっぱりJapanese small stomachにはこの程度で十分。

 今日は同行のご学友のアメリカのご学友と研究打合せがてらUCバークレーをご案内いただく。宿舎まで車でお出迎えというありがたい待遇。なのでけっこう睡眠を確保することができた。車でベイブリッジを渡り、大学そばの駐車場から見えるシンボルタワーをパチリ。ちょっと観光客気分。

 構内に入ったところでキャンパスの地図を片手にオーバービューの解説を受ける。で、受けてるうちに黒のシャツとズボンで身を固めた学生さんたちが列をなしてしかも黙々と集結してくる。近づいて配り屋さんらしきあんちゃんにフライヤーをもらうと、どうも高等教育にかける予算をちゃんとせえというような集会らしい。集結がすんだところでダイインに入った人々。メディアもいくつか取材に来ている(宿舎帰投後につけたテレビでニュースになっていた。今回はニュースネタによく当たる)。で、ついでに警察も来ている。University of California Police…自治権を言うなら警察権を行使するぐらいでないとね、という見本と言えましょう。

 で、学内のカフェでお昼。最後の晩餐にそなえ軽めにコーヒーとキャロットケーキ。

 お腹をふくらませたところでライブラリーへ。今年はカリフォルニア州で女性の参政権が法制化されてちょうど100年とのことで、それにまつわる当時の資料が展示されている。ライブラリーには図書だけでなく、多様な現物資料が集められているそうだ。今はアタリマエになっていることがいつ頃までアタリマエではなかったのかを知ることは、けっこう大事なことで、こうした展示はそれに貢献するものかも知れない。

 ちょうどそういう時代だったのか、アールヌーヴォー風のポスター。何かデザインするとき金門橋はカリフォルニアで格好のモチーフになっていたとのこと。

 その後、ライブラリーにお勤めの数少ないアーキビスト氏に館内の案内をお願いする幸運に恵まれ、普段は立ち入れないところを見せていただくことができた(ので写真のアップは自粛です)。ライブラリーには上記のような現物資料とともに大学の運営記録を保存する大学アーカイブズが設置されており、UCバークレーの各ファカルティの記録はほぼアーカイブズに入ってくるとのこと(人事記録も集めてるのかと尋ねたところアーカイブズに入れたらほぼ自動的にパブリックに公開しなければならないため、そういうセンシティブな記録はむしろお断りしてる場合が多いようだ)。立ち話では細かいところまでメモできなかったので、あらためてメールでお尋ねすることにする。ありがたいことだ。
 ひととおりご案内していただいてライブラリーを辞し、ビジネス・スクールのエリアへ。てくてく歩いて向かっていたら駐車スペースにこんな看板が。…なかなか。

 現地のご学友の解説を聞きながらビジネス・スクール内をてくてくしていたら、こんな案内が。聞くと世界のあちこちの企業から幹部クラスのスタッフが10日とか2週間とか送り込まれているそうだ。ちらと教室をのぞいたら脇の方に果物とかサンドイッチとか飲み物のベンダーとか。ご学友曰く、Very expensive class だそうな。

 あんまりゆるゆる話していたら日が傾いてしまった。あとロー・スクールなどめぼしいところをいくつか覗き、ご学友の運転で最後の晩餐へ。料理はおいしくお店の雰囲気もよい。なにより量がてんこ盛りアメリカンでないのがよい。Our stomach is not so large as yours. なんてことを言い訳せずにおいしくいただけた。朝から同じようなことを場所を変え言葉を変えて繰り返し何度も話しているうちに、だんだんコラボのイメージが湧いてくる。しめしめ。で、締めがこのお店でなおしめしめ。サーブしてくれる娘さんはかわいらしく、ギャルソンはカッコよく、最後の晩餐にふさわしく幸せにてはべり。

 話は同行のご学友の畑で組織論とか企業論、それにからめたアーカイブズの話題、そして時どき日本の話も。途中でいろいろネタを出していたこともあり、Japanese people are comfortable when they are in an uncomfortable environment. なんて説明で妙に納得してもらえる。この表現を思いついた時はしめしめだったのだが、こういう説明で納得してもらえちゃう文化というのはどうなのかとあらためて考える。むー。…なんだか、何十年ぶりかにゴフマンを読み直さないといけないかも。
 宿舎まで送っていただいて部屋に戻っていよいよ荷物のパッキング。すこぶるよい滞在であった。が、それをかたちにするかどうかはこの先のひと踏ん張り次第。ゆめゆめ気を抜かずに望むべし。久しぶりのべしべし。
 パッキングしてお風呂をすませ(今日は洗濯しなくていいからラク。ずっと洗濯にも使っていたから、持ってきたシャボン玉石けんがすっかりペラペラ)ひと段落ついたところで宿の外へ。SF最後の夜、ひんやりと心地よい空気を感じながら寝るまえ最後の一服。ほけーと煙を吐いていたらゆるゆる近づいてくるひげ面のおいちゃん。たばこ1本ねだられるかなと思ったら火を貸してくれと。点火したライターを差し出すと吸いかけのタバコを近づけふはーと煙を吐いて隣にちょこんと座る。台湾からかと聞かれ日本からだよと答える。いがらっぽい声が気持ちいいが口の中でごしょごしょしゃべるのでよく聴き取れない。適当に相づちを打ちつつ夜中に散歩するのが習慣なの(夜2時前くらい)と尋ねると俺はミュージシャンだという答え。よくわかんないのでまた適当に相づち。で、もしょもしょしゃべる言葉になんとなく聞き覚えがあり集中するとナンミョーホーレンゲーキョーと聞こえる。へ? それ日本で覚えたの? と聞いてみるがやっぱりよくわからず。どうやらこちらで知り合いのお坊さんから学んだらしい。タバコを終えたところでほなそろそろ部屋に戻りますわと挨拶。オマエに会えてよかったとハグされて別れる(ちゅーはなし)。Have a good midnight! 最終日の明日もいい日になりそうだ。
 北米大陸の天気なう