自尊心を持つことと他人をおとしめることとは別のことのはずだが、時にそれが表裏一体になっているケースもある。…単に鈍感(≒丈夫)なだけかも知れないが。
 省庁のトップである大臣や長官はその省庁が担当する諸課題について熟知しておくことが(一般論として)期待されるが、そんなもの無理に決まっている。たとえばある省庁の担当範囲に属するある案件について尋ねられて、その大臣・長官が「細部まで知っているわけではない」のようなことを発言したら、それは当人の不適任性を証しだてることになるか。
 どの省庁も扱う領域は膨大である。たとえば「族議員」としての活動を重ねその分野に(他の議員よりは)詳しい人物であったとしても、特定の個別案件について尋ねられて「それについては隅から隅まで(関係者の個人名まで)知悉している」などと答えられる例はまれであろう。そんなのは当たり前のことだ。もしそういう質問をされてすらすら答えられるようになっていたとすれば、それは事前に部下(行政マン)からのレクチャーや資料提供を受けていたから(さらにはそれに先立ってそれを尋ねられることを知らされていたから)にすぎないと言ってよい(と思う)。もしも部下にあたる行政マンが「こいつ気にくわねえ」と思えば、そういう事前対策を意図的にサボタージュして、トップをへどもどさせることも可能だろう(実際に今回どうだったかはわからない)。
 国会議員が省庁のトップに就いた時点で、あるいはその一定期間後にどのていどその政府機関の業務を把握していればよいか、これは議会メンバーにとって丁寧に考えるべき重要な問題だろうに、つまり、どの議員がなったって現状は似たり寄ったりだろうに、どんぐり同士で「おまえなんかどんぐりだ!」と言い合っていては仕方がない(と思う…このへんちょいと弱気)。まあね、先生方には先生方のご事情もおありでしょうからね(お茶濁しまくり。もごもご)。