もう春先のことになるか、年金にかかわる個人情報を電子データ化するさい名前をカタカナ入力して台帳原本を破棄してしまって、そのうち大騒ぎになるよ、と近畿のアーカイブズ関係者から話を聞いたことがあった(電子化が始まったばかりのその頃は、まだ漢字、特に異体字に対応できるようなシステムが整備されていなかったし)。今回の件で「自分でちゃんと見張っとかないと、まったくお上はアテになんねえ」という意識が高まればよいと思う。思うのだが、しかし一方で、仕事を円滑かつ着実に進めていくための記録とりが、かえってそれに忙殺されて仕事を滞らせることになったら本末転倒だ、というのもあって(むかーしあった順法闘争のストライキみたいな)、このあたりがアーカイブズの悩ましいところでござる。「あたしの見てないとこで何やってんだ」というのは簡単だが、しかし、役人の仕事のすべてについて、年がら年中そばについて見ているわけにもいかない、というのは当然のこと。要するに、どこで見切りをつけるかという問題になっていくのだろうが、悩ましいところでござる。