アイドリング中。

Late that night, Harvey called his friend Don Amador, who had been celebrating the victory at a party with an eighteen-year-old from Richmond, Minnesota, whom Harvey might remember. The disabled young man who, a year before, was ready to kill himself because his parents were going to institutionalize him had followed Harvey's advice, taken his crutches, and boarded a bus for Los Angeles. He had registered to vote and that day cast his first ballot--against Prop. 6. Harvey rarely showed emotion, but his voice cracked when he heard the news. The eighteen-year-old could hardly wait to meet his hero.(The Mayor of Castro Street, by Randy Shilts, p. 250)

 市長さん読了。いい本だなあ。2か月ほど前にはゲイの人間が公職に就く=表舞台に立つことがアメリカではそれほど憎悪の対象になるのか(キリスト教のせいちがうんか)程度の雑駁な理解だったが、これを読むかぎりそれだけではなさそう。ハーヴェイ・ミルク(サンフランシスコ移住前にはウォール街で優秀な成績をあげるファームスタッフでもあった)が「ダウンタウンの政治」に対置して掲げた「ネイバーフッドの政治」、これがダウンタウン(いわゆる財界エスタブリッシュメント)の気にくわなかったという要素も随分ありそう。この本には補遺として彼のスピーチがいくつか(うちひとつは「自分が暗殺されたときにのみ再生すること」という条件つきで録音されたメッセージのテキスト起こし)が収録されている(邦訳にも載っているかどうかは未確認。写真は割愛されているようだし)が、それを読むと彼のまちづくりに関する展望が披露されている。自家用車で毎日ハイウェイを飛ばして遠くの会社に通い、高層マンションのクリーンな部屋のテレビで世界の出来事を知ることよりも、歩いて仕事に行ける職場、歩いて買い物に行ける店、歩いて訪ねていける友人、友人と歩いてお茶や食事に出かけられるカフェやレストラン、障害者や高齢者が気後れせず出かけられる街、そういうものが重要だと述べている。1970年代にこういうことを言っている人がいるとはウカツにも知らなかった(自然に還れみたいなことを言う人はようけいただろうが)。加えて言うと、ミルクビジョンでは特に大企業それ自体が敵視されているわけではない。都市開発に関するエスタブリッシュメントの方針(大規模再開発!)は敵視されていたようだが。What affects one affects the others.(p. 355)なんてモースみたい。どういう経緯でこの人がこういうビジョンを育てるに至ったのか。チャンスがあれば調べてみよう。…とまあ、こうやって関心は収束せず拡散していくばかり。しまっていこう!
 多分にメンタルな要因によると思われる顔面の腫れがようやく落ち着いてきた。回復を喜ぶべし。