毎日新聞に「OECD調査 デジタル読解力 日本4位 19カ国・地域中 トップは韓国」「評価の一方で課題も(紙ベースでは「情報教育 遅れ顕著」という見出しになっていた)」とあって、なんでっか、その「デジタル読解力」いうのはと本文を読むと、「インターネットを使ってブログ(日記)を読み解いたり、ウェブページを検索するなど」の能力をさす呼び名らしいことがわかる。「ブログを読み解く」ってのはどういうことなのか、氾濫するガセネタに右往左往しない見識を持つということなのか。で、ネットで調べてみると、読売は淡々とデータを載せる淡泊な記事、産経は「調査問題は、ブログの書き込み内容を読んだ上で、その内容に合うものを選択したり、画面上から別のサイトに移動して解答するものがある。従来の読解力に加え、ホームページへのアクセスや電子メールの送受信、ウェブ掲示板への書き込みなどの知識や技術も必要で、ネット上の情報の取捨選択も問われる」のように試験内容を割と丁寧に説明している。で、どうもペーパー試験の結果とデジタル試験の結果をつきあわせるのがこのテストの目的の一つであるらしく、同じ産経には「筆記型との比較では日本はほとんど点差がなかったが韓国は28点、ニュージーランドが16点、オーストラリアも22点、デジタル型のほうが高かった」という記述も見られる。「勉強ができるかどうか」を従来型の試験で見るだけでなく、オンラインでのパソコン操作を伴う環境でも見ようとするものだと思ったらいいのかも知れない。朝日は日本の結果について「成績はまずまずだったが、一方で他国に比べ主要教科でコンピューターを使う割合が少ない実態も浮かんだ」のように、教育環境のIT化の遅れを指摘する部分を入れている
 で、ここに出てくるPISAというのは、Programme for International Student Assessment というものであるらしく、OECDのサイトを探すと巨大な報告書をPDFでダウンロードできるページが設置されている。「デジタル読解力」てのはDigital Literacyの訳語かしらとも思ったが、どうもまんまDigital Readingで、Paper Readingと対照される用語のようだ。…今はまだ生徒さんの「能力」をアセスメントしてるにすぎないが、そのうち教育スタッフの能力についてまで世界標準を推進していくなんて野望があったりするんじゃないかな。桑原桑原。
 ネットをどのくらい使いこなせるかというのは「時流に乗り遅れるな!」的な尻たたきモードになるおそれもあるので警戒は必要だが、たとえばフィンランド政府がネット接続権を基本的人権の一つに組み入れた(ちょいと前の毎日新聞「時代の風」by坂村健による…公式サイトでは削除されてしまった模様)といったことからも推測されるように、「役所に行かないと入手できなかった書類をオンラインで入手できるようになる」などの点で今後の市民生活に必要なスキルと位置づけることも可能だ。これからの情報教育には単にソフトやネットを使いこなすスキル面だけでなく、市民教育的な部分も重要になってくるだろう。…というか、きてほしい。