たしかにこういうことは起こってもおかしくない。救援物資の配給遅滞の間隙を衝かれたという意味で、政府関係者は遺憾に感じてよい。しかし…2リットルの水が1本800円ですか。水も安全もタダではなくなってしまった日本…。
 不祥事を起こした組織の長の記者会見の場でのお詫びというと、薬害エイズ事件の際の製薬会社役員連の土下座映像が印象に残っている。製薬会社の犯罪行為を弁護する気はないがしかし、事件当時は土下座させることへの違和感が残った。報道の自己満足じゃないの、というか。カメラのまわってる前で土下座させること、頭を下げさせることを「正義の報道」の証しにしてるつもりでいるんじゃないか、とか。だが、どうしようもなかった悪人を聖なる力で懲らしめ、土下座させてしまい、あとは「いい天気じゃのう、あっはっは」でめでたしめでたし(じゃあ次はどこへ行こうかのう)にしてしまうというストーリー自体が、実は日本人好みなのではないかとも思えてきた。その目でみればカメラの放列の前で頭を下げさせるというのは単なる報道側の自己満足ではなく、れっきとした読者サービス…もとい…視聴者サービスでもあったのだ、とも考えられる。追及の場にいる記者の口が横柄で怒号混じりなのは、少しでも追及の対象をひるませ、腰を引かせ、ぐうの音も出ない心境に追い込んでアタマを下げさせてやろうという、そういう努力の表れではないかと思ってもいい。それが「報道」と言えるかどうかは別として、映像消費者のニーズにかなったものだとは言えるかも知れない。
 心地よくほの暗い東京駅のホーム。