卵かけご飯を食べようとするわけです。茶碗によそって中ほどにくぼみをつけたご飯のうえでパカッと卵を割って、ちょうどくぼみに卵が入ってうれしい、と思う間もなく卵の殻が指先をつるっとすべってご飯のうえにポトンと落ちる。…この瞬間、世界に対する憎悪が私の中で凝結する。
 などと言いつつ少しずつではあれ作業がかたづいていく。…K先生、あと少し待ってたも〜。
 こういうのについ目がとまるのもどうかと思うが…野中広務さんとの対談の中で辛淑玉さんが喝破しておられるとおり、「差別するのは楽しい」ということをあからさまにしてしまった子どもたちがいるということだろうなあ。差別などと大仰に構えずともよい。人を笑いものにすることは人にとって相当大きな娯楽になる、ということだ。「私はあなたを笑いものにする。しかし、あなたの人間としての尊厳は、私が笑いものにする程度で傷つくようなものではない」…これは相当苦しい理屈、ではある。