どんどん。
「はーい、どうぞー」
 がちゃ「先生、先生、ぼくです」
「あー、ぼくですなんて入ってきちゃイカンでしょー」
「先生、前にね、ぼくにホットメール教えてくれたじゃないですか」
「いつ?」
「前の授業の時ですよ」
「授業で? 先週はそんなことしてへんよ」
「違いますよ。去年ですよ」
「あー。…そういうのは前の授業の時とは言わへんでしょー」
「ぼくにもう一度ホットメールのしかた教えてくださいよ」
「いっぺん教えたんだしあとは自分でやんないと」
「ずっと使ってなかったから忘れてしまったんですよ」
「使ってないんならやんなくてもいいじゃん」
「でもぼく、もう一度ホットメール覚えたいんですよ」
「なんで?」
「メールくらい使えた方がいいじゃないですか」
「使う用事がなかったらいらないんじゃないの」
「ぼくにイチから教えてくださいよ」
「そういうのはな、誰か教えてくれる友だちを見つけないかん。誰か聞ける人おらんの?」
「先生がちゃんと教えてくれたら別にぼくは他に聞ける人がいなくてもいいんですよ」
「あはは。それはいかんわ」
「えーなんでいかんのですか」
「そりゃいかんよー。助けてくれる友だちを見つけるのも学力のうちです。誰か探して聞いてみ。頼んで教えてもらい。で、3月まで頑張ってみんなに聞いて、それでもわかんなかったら、そしたら4月に入ってから教えてあげる」
「じゃあわかりました。誰かに頼んで教えてもらいます。…それで先生、ホットメールってグーグルで探せばいいんですよね」
「ぎゃふん」

…自分の使っている言葉を自分がちゃんとわかって使っているかをチェックする力。自分の使っている言葉を、自分の使っている意味で相手が受けとめているかチェックする力。いずれの力も、自分を守ろうと身を硬くした状態では育ちにくい力である、とはいえる。努力するんなら、まずリラックスする努力をしよう。…なんてこと言ってないでさっさと作文やんないと…。