昼過ぎに名古屋到着。そこから名鉄でばあちゃんちに向かう。家に入ると棺の隣に横たわるばあちゃん。布をあげてご挨拶。ほどなく納棺。まさかついこのあいだ映画で見たばかりのシーンを、肉親バージョンで目にするとは奇遇なり。女性の納棺師さんで、映画で見たように手際よい。集まった親戚で顔ふきなどさせてもらい、死化粧の確認。ちょっと眉を書き足して完了。その後、集まってる男衆で下に敷いてある布を持ち上げお棺へと移し、遺品などを順番に置いていく。…しかし、ドライアイスたくさん入れるんだなあ。広辞苑の半分くらいの大きさ(重さは広辞苑と同じくらい)のものを下に3個、体の上に3個。「重くってごめんなさいねー」と言いながら納棺師さんが滑らないように気をつけつつ置いていく。
 で、棺を車に載せ、近くの斎場へ。誰か1人付き添いをといわれ、「じゃあぼくが行きましょうか」とお棺の隣に乗り込んだところ「いやいや、助手席ですよ」とたしなめられる。わははははは。救急車ではなかったか…。車中で聞いたところによると、いっときは入院先の病院で看護婦さんが棺に入れるところまで遺体の処置をやってくれるようになったこともあるが、最近、ここ4、5年は、自宅での納棺が大半になってきているんだそうな。もちろん地域性はあるだろうが。
 斎場に到着し、そのままお通夜モード。さすがに「寝ずの番」とはいかず、棺を安置した明るい畳の部屋でしばらく(けっこう)横になる。途中、たばこをつけに出た外に沈みかけのキレイな三日月。
 今回送るばあちゃんが95才、その子どもたちは藤吉の母親を含めて3人。ふたりがすでに70超、もうひとりもあと2年で70。「おばあさんを送るまでは生きとらないかんわ」と言っていた子どもたちは、さて、送ってしまって自らを御役御免と感じるのかどうか。