街で電車に乗っていると、時々車内でケータイの着メロが鳴る。マナー云々はさしあたり横に置く。藤吉は街の子でなくなってしまった(穏やかに黙殺することができる程度の慣れを失ってしまった)ので車内で音がすると、ついそっちの方を見やってしまう。で、見てみると携帯電話をもぞもぞしているおっさんがいて、「こんなむっさいおっさんがなんでまたその着メロやねん!」などと条件反射で思ってしまうことがある。しかーし! 松子さんの生涯を見せられてしまった以上、やはり、見た目で人を判断してはいけない、ということを、何度でも肝に銘じなければならない。襤褸は着てても心は錦、どころではない。むっさい見てくれとファンタジーな心は十分に両立するのである。…って、なに自己弁護してんだか。